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NHK『ドラゴンクエスト30th そして伝説へ』感想

テレビゲーム『ドラゴンクエスト』が今年で30週年ということで放送された番組『ドラゴンクエスト30th そして伝説へ』がかなり面白かった。

ドラゴンクエスト30th ~そして新たな伝説へ~ - NHK

ドラクエを語る上で欠かせない存在である「堀井雄二」「鳥山明」「すぎやまこういち」の三人を中心に焦点を当てながら日本が世界に誇るゲームがどうやって誕生したのか、そしてその魅力を徹底的に紐解いていくという内容の番組でプレゼンテーターをドラクエ好きで知られる俳優・山田孝之を務める。

 

シナリオ担当・堀井雄二の信念

すべてのストーリーを手がける堀井雄二。最新作ドラゴンクエスト11の完成まで堀井は徹底的に自らプレイしてチェックをする。そこで堀井が最も大切にしている部分は「プレイヤーの気持ちを第一に考える」ということだった。これはゲームを作る上では絶対的に妥協してはならない点だが意外とそこを疎かにしてしまうクリエイターは多いという。まずは自分でプレイして楽しいかどうか、ちょっとしたダンジョンのひとつであっても後ろ髪を引かれながらプレイしないように考えているのが堀井雄二という男だ。ゲームが好きで24時間ゲームのことを考えている彼だからこそだと思った。

「自分がプレイヤーとしてやったときに楽しめるか、ワクワクできるかどうか。面倒くさくないかどうか。どうしたらいいかわからないのがプレイヤーは一番強い。あれ!?これやったら次どうなるの?という期待感を作る」

 

キャラクター担当・鳥山明のこだわり

全てのキャラクターのデザインを手がける鳥山明。ドラゴンボールをはじめ数々のメガヒット作品で知られる漫画家だが、担当者によると彼はとても「良い人」だという。彼の仕事のメールの文面を見てみてもその人の良さが伺える。しかし、デザインを手がける上で譲れないこだわりも垣間見える。単に絵のデザインでなく、ゲームとして動いた時を重視して考える。剣を一振りするのでも違和感のある動きを極力させないように心がけているという。

 

音楽担当・すぎやまこういちの確信

そしてドラクエの全ての音楽を生み出す作曲家すぎやまこういち。85歳とは思えないほどエネルギッシュかつ陽気な人物で何十作もあるドラゴンクエストシリーズの全てを「新曲」として書き下ろしているのだから驚きだ。彼のすごいところはその「決定力」だと個人的に思った。これまでリズム音が主流だったゲーム音楽においてオーケストラ音楽を取り入れたのも彼で、それが一般的ではなかった当時でもそれを合わせることが正解だと確信して作っていたという。

「ポピュラー音楽は最初で客をつかむ。クラシックは最初でつかむのではなく何回聞いても飽きない作りにする。だから何度も繰り返し聞くゲーム音楽はクラシックの手法で作曲する」

 

番組の感想

終盤、この三人に加えプログラマーの中村光一、プロデューサー千田幸信がどうのようにして「ドラゴンクエスト」というゲームを世に送り出したのか、それがドラクエおなじみの音楽とドット絵によって全編コミカルに描かれていた。番組を通してそういった細かな演出に制作陣の「ドラクエ愛」というものを感じて胸が熱くなった。

今回の番組を観て、ここまでに熱意を持った人達が作るドラゴンクエストというゲームの偉大さを改めて知ることができた。次の作品「 ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」も本当に楽しみだ。最後に堀井雄二の言葉をお借りしてこの記事を締めたいと思う。

 

人生はロールプレイング by.堀井雄二